「魂が突き動かされる」という出来事、ご経験されたことはありますでしょうか?
私は、直感で行動してみた、というのは、頻繁ではないにしても、今までの人生を振り返ると何度か経験してきました。
しかし、何も手につかなくなるくらい、もう頭がおかしくなっちゃったのかな?と怖くなるくらいの出逢いに遭遇した時、私は初めて「魂が突き動かされる、とはこういうことなのか!」ということを体感しました。
その出逢いとは・・・ある保護猫でした。
私は不妊治療で結果が出ずに落ち込んでいた時に、YouTubeで保護猫の動画を見て癒されたことが強く印象に残っており、それ以降、密かに保護猫の里親になりたいと考えていましたが、夫には反対されていました。
約2年間、平行線を辿っていた私たちですが、その保護猫ちゃんとの出逢いにより、里親になるための決断と行動ができました。
今回は、私が保護猫の里親になるまでの話の前編です。
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目次
生まれて初めての一目ぼれは、猫
忘れもしないお正月三が日の翌日、冬休みが終わる前に小学生の息子といつもの保護猫カフェに行きました。
息子と行くときは大抵、おもちゃに食いつく子猫がいっぱいいる「子猫の部屋」に向かいます。
この日もいつものように、息子がおもちゃで遊ばせていると、
「ねぇ、お母さん、この猫、目の色が違うよ。」
と息子が言いました。
その猫を見た瞬間、
ああああああ、なんてかわいいんだーーーーー!!
と大声で言っている私がいました。
例えるとしたらベタな表現ですが、稲妻に打たれたかのような衝撃でした。
その子は、息子が言うように左右の目の色が違っているのですが、オッドアイ(左右の瞳の虹彩が異なる色をしていること。虹彩異色症の通称。犬や猫に比較的多く見られる。)ではなく、目をケガしたことによるものだと、猫カフェのスタッフさんから教えてもらいました。
その子の名前は、ハート。
体にハートの柄が入っているのが名前の由来とのこと。
何年も通っている猫カフェでしたが、こんなに心惹かれる猫ちゃんに出逢ったのは初めてでした。
猫カフェに行くのは夫の公認済みで、猫を飼うのは反対だけれど、その代わり猫カフェで癒されるのはOKと言われていたので、たまに猫まみれになっては猫欲(?)を満たしていました。
懐いてきてくれるニャンコが来るたびに、
なんて、ぽわわんと妄想することはあっても、現実では夫の反対で無理に決まってるので、所詮妄想だけのお話、と思っていました。
でも、でも・・・。
この子は、家族に迎え入れたい・・・!
どうしても、この子と家族になりたい。
そんな考えが頭から離れません。
初めてハートに出逢った翌日、母の病院付き添いのあと、母も一緒にまた猫カフェを訪ねました。
私がハートのことが気になっているのを感じ取ってくれたスタッフさんが、色々とハートのことを話してくれます。
ハートは最初、引っ込み思案で、人が来ると隠れるように過ごしていたそうです。
それが、だんだんとスタッフさんの愛情深いお世話に心開き、私がハートに出逢った頃にお客さんの前でも甘えるようになったとのことでした。
すっかり抱っこ好きにもなったらしく、私も抱っこさせてもらい、じっくりハートの温もりを感じ・・・。
そう呟く私にスタッフさんは、
「この子は本当に優しい子で、スタッフみんなも大好きなお気に入りの子なんですよ。」
と微笑んでいました。
わずか30分の滞在でしたが、私はこの子を本気で家族に迎え入れたいと夫に伝える決意をし、お店をあとにしました。
保護猫の里親になりたい妻 VS. ペットに反対の夫
夫は優しい人ですが、正論をついてくるのでなかなか手強いです。
ペットに反対なのは、猫が嫌いということではなく、「命の重み」がある故といいます。
かつて夫は熱帯魚を飼っていましたが、猫や犬などに比べお世話が簡単ということ、そして犬や猫はお世話が大変な分、懐いてくれるので、失ったあとの悲しみを想像すると、飼うことは止めた方がいいという意見でした。
うーん、夫を説得するにはどうしたらいいか・・・?
そういえば以前、夫の友人夫婦の話題で、奥さんが何か買って欲しいものがある時は、旦那さんにプレゼンテーションをするらしく、
「それっていいアイディアだよね。男はそういう風にプレゼンされる方が受け入れやすいかも。」
と話していたっけ・・・。
よし、これだ!
ハートを家族に迎え入れるためのプレゼンをしよう!
夫に保護猫を飼う為のプレゼンテーションを提案する
私は今までの人生で、プレゼンなんてものをやったことがありません。
まさか、保護猫の里親になりたいと夫を説得するためにやることになるとは。(笑)
よくわからないなりに、
保護猫ハートを家族として迎えるためのプレゼンテーション
と題し、夫と話し合うことになりました。
その前に一度、家族でハートと会ってみようということになりました。
無事に家族みんなでお見合いを終える
夫にも気持ちよさそうに撫でられるハート。
私の脳内では、「間違いなくこの子は私たちの家族の一員になるんだ~」と妄想に花が咲き、満面の笑みで夫とハートの様子を眺めていました。
夫もきっと良い方に感じてくれたかと思っていたのも束の間、帰宅後に聞いたのは、
「うん、かわいいけれど、今すぐ家族にしたいという気持ちにはなっていないな。」
という冷静な言葉でした。
プレゼンの用意をしっかりやらないと、かなり難しそうだな・・・。
プレゼンの内容
プレゼン初体験の私が考えたのが、猫を飼うことで考えられるメリットとデメリットをしっかり伝え、デメリットの対応はどうするか?というのを、なるべく客観的に伝えるのが鍵だろうと思いました。
きっと、夫が好むのは感情に訴えるよりも、理論的に・・・。
ということで、メリットについては「癒し効果抜群!」というくらいにしておいて、以下の内容を紙にまとめて渡しました。
猫を飼うための出費、維持費、トライアルについて
【初期投資】
- 爪切り
- 猫ブラシ
- 猫トイレ
- 猫トイレ砂
- 爪とぎ製品
- キャリーケース
- 水入れ(給水機)
- キャットフード
安くそろえるとして、7,000円~10,000円
※キャットタワーもあったほうが良い
【維持費】
- 猫トイレ砂
- 爪とぎ製品
- キャットフード代
安くおさえるとして、2,500円~4,000円
【医療関係の出費】
予防接種ワクチン 3,000円~5,000円
去勢or避妊手術 約15,000円
治療費 3,000円~
※ハートは避妊手術済み。
【月々の費用】
2,500円~5,000円くらい(猫砂、食費など)
【年間の費用】
10~30万円くらい
【譲渡代(保護猫の管理団体により違う)】
保護猫ハートの場合:
2021年3月末まで1万円。
トライアル時に5千円。
本決定で5千円。
合計1万円。それ以上はかからない。
【トライアル期間(保護猫の管理団体により違う)】
基本的に2週間。延長可能。
場合によるが、延長は最高2週間くらい(トータル1ヶ月)
【トライアルの際に必要なもの】
- キャリーケース
- ケージ
- エサ
- トイレ
- 猫砂
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デメリットおよび対策
【爪とぎ】
猫の習性として、必ず爪とぎを行う。
個体により爪を研ぐものの好みが違うため、布製品、壁紙、家具などボロボロにされることもある。
※対策※ ダンボールなどの爪とぎ機をこまめに買い替えたり、ソファにカバーをしたり、壁紙はコーティングで保護するなど。 こまめに爪を切ってあげるのも効果的。 |
【コード類の管理】
電化製品のコード類はかじられる可能性があるので注意。
※対策※ 100均等にあるケーブルチューブで保護する。 |
【抜け毛】
衣類、布系は毛がつく。
特に、黒系の服は目立つ。
※対策※ コロコロが複数必要。 猫ブラシでこまめにブラッシング。 |
【排泄と嘔吐】
トイレ自体はすぐに覚えるが、猫砂の掃除を怠っていたりするとトイレ以外の場所にウンコやおしっこをされることがある。
また、猫は毛づくろいをするので、体内に体毛がたまりやすい。
猫が飲み込んだ毛は、本来であればウンチと一緒に排泄するのが理想的。
しかし全部が排泄されるわけではなく、胃に残った一部を吐き出すことがある。
そのため、毛玉のかたまりを吐き出す場合がある。
※対策※ シャンプーが効果的。 短毛種であれば換毛期の春と秋。 ブラッシングもこまめにやるとよい。 |
【ペットロス】
猫は15~20年が寿命と言われているため、長生きしたとしても自分よりも先に天寿を全うする可能性が高い。家族として過ごした分、悲しみの大きさは計り知れない。
ペットロスの対策、というのは正直わからないが、最後の日までしっかりお世話をし、悔いがないよう慈しむ。
【長期旅行がしづらい】
1~2日家を空ける程度であれば、キャットフード・水をいつもより多めに置いておくことで可能と思われる。
しかし、それ以上の日数や長期で家を空ける場合は、身内や近所の人に頼む、ペットホテルや動物病院に預けるしかない。
※対策※ 猫好きな義妹に、長期家を空ける際に面倒見てもらえるか確認しておく→快諾済み。 |
【健康管理に必要なこと】
ブラッシング、耳掃除、爪切り、歯磨きなど
私(カイカ)が行う。
【ニオイ対策】
どうしてもニオイが気になるなら、空気清浄機が効果的。
必要あれば私(カイカ)が購入する。
空中の毛を吸収するタイプもある。
プレゼンの結果は・・・
色々、細かくチェックや突っ込みをいただきながら、どうにかプレゼンを終えました。
結果は・・・しぶしぶOK!
しかし、それはあくまでトライアルということ。
ここまで私を行動させたハートという猫だからOK、という条件付きです。
そして、
初期費用、医療費はお家のお金ではなく、私が支払うこと。 猫砂や食費はお家のお金を使っていいこととする。 基本的にお世話は、私がやる。(食事、排泄物の処理、通院など。) トライアルをし、家族みんなの了承を得たうえで本決定とする。 |
ということも念押しされました。
まさかの、一日違いで幻に・・・。
夫へのプレゼンを準備している間も、猫カフェには通っていました。
他の人に、かわいいハートの存在を気づかれたら連れていかれるかもしれないという恐怖。
そんな不安もあり、訪ねずにはいられませんでした。
そして、ようやく夫からハートのトライアルOKをもらった翌々日、猫カフェに行きました。
ドキドキしながら入店。
しかし、私の顔を見るなり、申し訳なさそうにスタッフさんから、
「実はハート、昨日なんですが、他のご家族にトライアルに出てしまいました・・・。カイカさんの電話連絡先を聞いておくべきでしたが、わからなかったので、すみません。カイカさんにトライアル決定の確認ができたらそのご家族にはお断りもできたのですが・・・。」
と言われました。
私はその場で腰が砕け落ちそうなくらいのショックを受けました。
どうにか立ってはいましたが、出てきそうな涙を引っ込めてお店を立ち去るのがやっとでした。
ハートを連れて行ったご家族は、元々、他の子猫をトライアル中だったけれど、3日目くらいに猫風邪の症状が出たため、チェンジして欲しいと来店し、ハートを見かけて気に入ったとのことでした。
どうして、よりにもよってハートを連れて行ったの?!
私はこんなにもハートに想いを寄せ、反対の夫を説得したのに・・・。
そんなこと思ってもしょうがないとわかりつつ、ただただ悲しみの感情があふれ出るのでした。
このご家族はハートを連れていく時に、かなりお気に入りの様子だったらしいので、可能性は低いかもしれないけれど、猫風邪を引いたくらいですぐに最初の子をチェンジしたくらいだから、もしかしたらトライアルの間に気持ちが変わるかもしれない。
そんな風に自分を慰めるしかありませんでした。
顔が腫れるくらい、むせび泣く
夫が帰宅するまで、しょんぼりはしつつも、努めて平静を装っていました。
しかし、息子が寝た後、夫と二人で話した途端、嗚咽が漏れる勢いで泣いていました。
あと一日早ければ、こんなことにはならなかったのに。
もうハートと会えなくなってしまう。
うわぁーーーーー!
言ってもしょうがない言葉を、おいおい泣きながら言う妻に、最初は驚きを隠せなかった夫でしたが、私のあーだこーだを聞いているうちに、
「俺が反対していてハートをすぐに迎えに行けなかったから、俺のせいだと言いたいのか?」
と、怒りの言葉を言われました。
確かに心の中では、「それもあるよ!」と思いました。地雷になるので、決してそれは言葉にしませんでしたが。
でも、ハートが連れていかれた日、私は母のケアマネジャーとの面談や他にも用事が重なり、猫カフェに顔を出せなかったという私自身のタイミングの悪さもありました。
思いたくないけれど、こればかりは・・・やっぱり「縁」ということなのだと、頭ではわかっていました。
夫には、
私、頭がおかしくなったのかな・・・。
と言うしかりませんでした。
実際、こんなに泣くほどのことなのか?と、どこかで引いている自分もいるくらいでした。
出逢ってからハートのことを常に考えている私は、本当にどうしてしまったんだろう・・・と頭をクシャクシャに掻きむしっていました。
例えるなら、なんだか魂が引き裂かれたような感覚で、自分でも戸惑うしかありませんでした。
私は霊感とかは全然ないですが、ビビっと来たというのはこういうことなのかな、と人生初の経験で、何か意味があるに違いないと思ったのです。
Google先生に、
「魂 突き動かされる」
などのキーワードを検索にかけると、たくさん「スピリチュアル」という言葉が目に入ってくるのでした。
私は、占いやスピリチュアル系は嫌いじゃなかったですが、占いは「当たるも八卦当たらぬも八卦」で良いとこどり、スピリチュアル系は深い話になると霊感のない自分にはついていけないやって深追いしないタイプでした。
強いて言うなら、スピリチュアル系のあまりにも現実離れした内容には、胡散臭い!と嫌悪感が出ることもあったので、どちらかと言うとアンチスピリチュアル寄りでした。
しかし、ハートに出逢ってからの私の心の状態は、何か目に見えないものというのは存在するのかもしれない、と思わざるを得なかったのでした。
余談ですが、実はその流れでレイキにも出逢うのですが、それはいずれ記事にしたいと思います。
永遠の別れ。そして新たな出逢いを求めて。
ハートが連れていかれてから2週間後、ハートはどうなったのか確認の電話を猫カフェにしました。
ハートのトライアルは、まだ様子を見てみたいということで、さらに2週間延長になったとのこと・・・即決じゃないんかい。イラっとした私がいました。
ハートがトライアルに出て1ヶ月経った日、とうとう正式譲渡が決まり、完全に、永遠に会えなくなってしまいました。
毎日毎日、きっとハートは私のもとに帰ってくる、とアファメーションしたり、新月にお願いごとを初めてしたりと、すっかりスピリチュアル方面にすがったのですが、叶うことはありませんでした。
さすがに前回のように泣き腫らすことはありませんでしたが、夫に報告し、ハートと同じくらいの出逢いをまた捜し歩こうと決意していました。
長くなったので、この続きは後編へ。
先日、いつも通っている動物病院でハートがいた保護猫カフェのスタッフさんに偶然会い、ハートは里親さんの元で元気に暮らしていると聞きました。これからもハートが健康で末永く幸せに暮らせますように。