HSP気質の人は、うつ病を患いやすいという記事をよく見かけます。
実際、私自身も抑うつ状態から軽度の鬱病ということで、間が空いたこともありましたが、約3年くらい心療内科に通っていました。
その中でも大きな経験となったのが、およそ2年間かけたカウンセリングでした。
その治療内容は、認知のゆがみ(考え方のクセ)を改善させるもので、いわゆる認知行動療法というものです。カウンセラーが丁寧に私の考えを拾い上げ、どれだけ自分の考え方に偏りがあったかを知る機会となりました。
やがてカウンセリングの必要性がなくなり、薬も頓服をお守り代わりに持ち歩くだけで飲むこともなくなった頃、認知のゆがみの改善が、どれだけ人生を楽に、生きやすくなっただろう、ということに気づきました。
そして昨年初めて知ったHSPという概念に救われた私は、その認知行動療法は、HSP気質にとって有効であるということを知りました。
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目次
YouTube「公認心理師しおん」さんの動画で納得
最近、HSPに関するYouTube動画やブログ記事もよく目にするようになりました。テレビでも特集が組まれていたようです。
自分がHSPという概念を知り、それに当てはまることを知ってから、過去の自分の病気やうまくいかない人間関係の原因の元となっていたのだと気づきました。
冒頭に書いたように、私は30才の頃、人間関係の大きな出来事から鬱病と診断されたことがあります。
思い返せば、子供の頃から人間関係で体調を崩すことは多かったです。
初めて病院で「自律神経失調症」と言われたのは中学生の頃でした。
それはいじめを受けた経験から、学校を休みがちになったことで病院を受診した際に言われた診断名だったと記憶しています。
確か、お薬も処方されました。
しかし、ただでさえ自律神経失調症という診断に、
と、意地でも薬を飲むことはしませんでした。
かといって、体調が回復することもなく、人間関係で傷ついては体調不良を起こすというのは、うつ病と診断される前にも数えきれないほど経験してきたことでした。
つい先日、YouTubeでおススメ動画に出てきたチャンネル「公認心理師しおん」のしおんさんは、ご自身がHSPでありながら、実際に医療現場でカウンセリングを行ってきたプロのカウンセラーさんです。
実際に何千人もの患者さんをカウンセリングしてきた経験と、ご自身がHSPということもあり、内容はどれも共感や安心感を得られるものです。
今回、この記事を書こうと思ったきっかけの動画がこちらです。
この動画の中でまったくもって、「そう、それです!!」と共感したところをご紹介すると、
HSPの人は、
- 自分だったら絶対にあんなこと言わないから、見下されているかもと思いがち。
- 高い共感力と善良さを持っているので、自分がされたら嫌なことをしない、という考えが強い人が多いので、されたらイヤなことをする人に対し、悪意とか嫌悪感を感じやすく、被害認知を持ちやすい。
- 私のこと嫌いなんだろうなという自己否定的とか、無神経で腹が立つ他者否定的の気持ちを持ちやすい。
では、どうすれば良いかというのはシンプルで、感じたこと=事実ではない。他人も自分と同じように感じているだろうという無意識の認知を変えるトレーニングが有効。
自分はHSPだから気になるけれど、あの人は非HSPだからまったく気にしてないだろうなとか、悪気があるわけではないし、バカにしているわけでもない、という認知で感情を落ち着けることを繰り返す。反射的に嫌な考えが出てきても、あとから意識的に考え直しをすることが重要である。
被害的な嫌な考えのまま傷ついたままの認知にしていると、交感神経が上がりっぱなしのまま感情を流すことができないままになってしまう。
というところです。
しおんさんのアドバイス:繊細でしんどい人がやるべき3つのケア
この動画では大まかに、3つのケアのことが紹介されていましたが、私はHSPと知るまでに、この全ての項目を試していました。
プロの方が紹介している内容が、自分が模索してやっていたことだったので、何だかすごく嬉しくなりました。(単純。笑)
その内容は、
- 認知のケア
- 感情のケア
- 身体のケア
です。
その中の①認知のケアは、私がうつ病で受けていたカウンセリングで受けた認知行動療法でした。
②感情のケアは、マインドフルネス等が有効ということで、通っているヨガの先生がよく「今この瞬間を生きる」という時間を取ることがあり、経験として自分にあっていると感じていました。
③身体のケアは、自律訓練法、呼吸法、筋弛緩法等が有効ということですが、これもヨガの時間に呼吸法や筋弛緩法を取り入れていて、感覚的にすごく良いものだと思っていました。
HSP的思考と思う私の過去のカウンセリング内容例
実際に私の例を少しあげると、うつ病の原因となっていた人間関係の中で、
〇〇ちゃんがかわいそう。
どうしたらいいんだろう・・・悲しい。苦しい。
という考えが自分を苦しめているものの一つでした。
しかし、カウンセラーに言われた言葉は、私にとってかなり衝撃的なものでした。
あなたが悩んでも他人の人生は変わらない
その人が、その人の人生を決めているのです。
あなたがかわいそうと悩んだところで、その人が歩んでいる人生は、その人が選んでいるのです。
と言われました。
そのカウンセラーさんは、とても温厚な雰囲気で、話を聞きだすのも上手だし、この方の前に取り急ぎで会ったカウンセラーさんとは違って、理論整然と私のごっちゃごちゃになった思考を整理整頓してくれる、本当に信頼のできる人でした。
そんな信頼のおけるカウンセラーに言われたこの言葉が、私にとっては本当にショックで、
と思ったほどでした。
しかし時間が経つにつれ、カウンセラーの言っていることを理解できるようになってきました。
自己肯定感が低いHSP気質の私にとって、「私のせいで人が辛い目にあっている。」という感覚は酷く許せないものでしたが、言われてみれば、私がこんなに具合が悪くなっていても、その人の人生が良くなることはありません。しかも実際には、まったくもって私に非がないことを、ある人たちが私のせいだと騒ぎ出したのが発端でした。
私がどんなにその人のことを考えて、悩んでも、本人がそこを改善させる為に行動しようと思わない限りどうしようもないことだ、ということを、カウンセラーに言われて初めて、人のことと、自分のこと、という境界線があるのだと気づいたのでした。
カウンセリング内容は他にもたくさんあり、全ては紹介しきれないのですが、もう一つ例を挙げます。
人に嫌われたくないという強い呪縛
一旦、うつ病の原因となることに関するカウンセリングは、症状もよくなったことから打ち切っていましたが、結婚後に通い始めた写真学校での人間関係で、もの凄く疎外感を抱くようになり、カウンセリングを再開させたことがありました。
ある程度、それまでのカウンセリングで自分の考えのクセを知り、俯瞰して自分のことを見るというのが少しできるようになっていたのですが、それを踏まえても、大人になって通い始めた学校で馴染めないでいると思う自分に疲弊していく感覚がありました。
子供の頃からそうなのですが、例えばクラス替えがあった直後とか、みんな緊張している雰囲気だったりすると、私はそれが苦手なので、どうにか沈黙をなくすために一生懸命自分のことを話したり、他の人に話しかけたりと場を和ませることに努力します。
そして、いつの間にかみんなが打ち解けた頃、あれ?私だけ一人ポツンとしている・・・?と感じるのです。実際には、私に初日からすごく話しかけてくれる人がいて、その人は私と行動を共にすることが多かったのですが、私と違い、みんなとワーっと盛り上がれる人なので、他のクラスメイトとその人が仲良くテンポよく話し始めると、私は会話についていけなくなり、ポツンとした気分になってしまいます。
まさか大人になってまでこんな感覚を味わうとは・・・(笑)と思う気持ちがありながらも、毎日毎日抱いてしまう疎外感に、疲れ果てて具合が悪くなり、学校を休むこともありました。
これではいけないと、しばらく行っていなかった心療内科で相談すると、カウンセリングを再開してもらえました。(当時はまだHSPという概念は浸透していませんでした。)
悩んでいる部分を伝えるに至るまで、色々な経緯を話したり質問を受けるのですが、この時にカウンセラーに問われてまたも衝撃だったのが、
と言うものでした。
私は、
と答えていました。
そしてカウンセラーに言われたのが、
(心の声)
あぁ・・・本当だ。
矛盾している。
うん、矛盾しているね・・・。
言われたことを頭では理解しているのですが、人に嫌われたくない、という思いがこんなに自分の心の奥底に根深くあるということを、指摘されるまで気づかなかったし、言われてなお、蓋をしたくなるような矛盾でした。
正論なのに少し受け入れられない感覚を持ちつつ、カウンセラーの言っていた矛盾を自分に落とし込むようになれるまで、徐々に時間をかけるしかありませんでした。
正確に言うと、今でもその矛盾の思考は、気を抜くとあっという間に私を不安の底に突き落とすので、「あ、そうだった!これってHSPの特徴だから、こう考えればいいんだった!」と考える手間が必要です。
ちなみに、HSP気質の人は、ものごとを深く考え込んでしまい、無意識に相手が傷つかないように気を遣うので、言葉のキャッチボールスピードが速い雑談等は苦手な人が多いそうです。確かに私も、慣れている人は大丈夫なのですが、そこまで関係を築けていない人と話したい気持ちはあっても言葉がうまく出てこずに空回りすることがよくあります。今これを書きながら、人と話す時は落ち着け、私!と思いました。笑
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HSPとわかっても生き辛さを感じるあなたへ
私自身がそうですが、HSPという概念を知ってから、「私だけではないんだ!」とわかっただけでどれだけ救われたでしょうか。
しかし、わかっただけではHSP特有の生き辛さが解消されるわけではありません。
考え方のクセというものはやっかいで、意識しないと、あっという間に感情の波に飲み込まれてしまいます。そして自分に対して厳しいHSPさんは、繰り返し自分にダメ出しをしてしまうことが多いでしょう。
しかし、自分の人生は結局、最終的に自分が選択しているというのが、私の振り返った経験で思うことです。
人が良いHSP気質の人は、相手に気を遣いすぎるあまり、時に人の意見に流されてしまいがちですが、自分の心の声に耳を澄ます努力をしなければ、いつの間にか「こんなはずじゃなかった!」となってしまいます。
もうこんなことを繰り返すのはやめにしたい・・・その解決策は、自分と向き合い、受け入れていくこと。すなわち、認知行動療法が有効だと感じました。名前だけを聞くと、何だか難しそうとか、怪しいとか思ってしまいそうですが。
私が認知行動療法を受けて感じたことは、無理に考えを矯正するとか、頑張ってポジティブにするということではなく、自分の考え方の偏りを整理整頓するように挙げてもらい、それを受け入れ、俯瞰して見る訓練という感じでした。
経験者として言えるのは、認知のゆがみ、考えのクセを自分一人で直していく作業は、とても難しいと思います。
私はたまたま鬱病の治療のカウンセリングで、相性の良いカウンセラーさんと出逢え、認知行動療法をしていただけました。
今はHSPが紹介されているHPのクリニックも検索すれば出てきますし、ご紹介したYouTube動画のしおんさんも、HSPやアダルトチルドレン等を得意としているカウンセラーさんで、オンラインでカウンセリング対応されているようです。
今でも私は、HSP的思考で何度も落ち込んだり、ストレスを感じることはあります。でも、自分なりの対応法がわかったので、だいぶ生きやすくなりました。
なかなか行動できない、というのもHSPの特徴としてあるので、この記事を読んでも、「わかってるけど、それができないんだ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、大丈夫です、私もそうです。
ただ一つだけ言えるのは、たとえ思ったようにうまく行動できなかったとしても、諦めない、それだけは変わらないので、少しずつ進んでいたのです。
ささいなきっかけで行動したけど、3日坊主だった。それでも「少し行動できた自分」はわずかでも進めているのです。
行動できない時は、何かしらのサインだと思って、じっくり自分のことに時間を使ってください。
そして、また気力が回復した時に、ちょっとカウンセリング受けてみようかな?と検索できただけでも、自分を褒めてみてください。
変わりたい、という気持ちを諦めないこと、ほんの少しでもアクションを起こせたことを繰り返せば、いつか実現できます。
私自身にもその言葉を送ります。
最後に、公認心理師しおんさんへ感謝
HSPの私には、顔を出してメッセージを発信しているしおんさんの行動力は、勇気がすごすぎて本当に尊敬の念を抱きます。そしてその内容は、HSPで苦しんでいる人への良質な情報だと思います。
ただ、やっぱり動画をあげるということで、それなりにストレスもあると思うので、どうぞ無理をなさらずに、続けていっていただけたらと思います。
実際にしおんさんがカウンセリングをできる人数も限られているので、YouTube動画で発信されることによって、どれだけ画面の向こう側の人が救われていることだろうと思います。私もその一人です。
HSPの気持ちをわかってもらえるのが涙が出るほどありがたい、と感じた動画でした。
ありがとうございます。
悔しい!
そんなことはないから、薬なんか絶対飲まない!