電話での受け答えが苦手で、宅配ピザ屋に電話するのさえ苦労する。
社会人になれば、電話が鳴るのが軽く恐怖でした。
電話が怖くてすぐに出ないでいると、周りの人から無言のプレッシャーを感じ、みんな当たり前にできていることをできない自分が、本当に嫌になりました。
電話嫌いを克服するためにどうすればいいか?
極端な思考も併せ持つ私が選んだ次なる転職先は、コールセンターでした。
そんな私の荒療治な職業選択の結果は、早期に退職という形になりました。
今回は、HSP(Highly Sensitive Person/繊細で敏感な人)気質の私がコールセンターを職業にした失敗談をお伝えします。
スポンサーリンク
目次
相手の表情が見えない電話が怖い
電話が苦手と言いましたが、家族や親しい友人と話すのは別で、おしゃべり好きな私は話に花が咲けば何時間でも喋れました。
しかし、相手が誰かわからない電話に受け答えするのが子供の頃からしんどいと思っていました。
学生のうちはまだ許される環境でしたが、社会人になるとそうはいきません。
特に日本の職場では、「新人は電話を取ってなんぼ」という雰囲気が多いように感じます。
電話が鳴ると、
などと心ざわざわしている間に、他の人が取って対応。
うわー、周りの視線が痛いと打ちひしがれて後悔。
HSP気質は向上心が高い傾向があるようですが、自分に厳しすぎるが故に、自己否定も多くなりがちです。
恥ずかしいヤツめ。
とめどなく自己批判の言葉を自分に浴びせていました。
そんなある日、転機が訪れます。
コールセンターという職業選択
以前の職場で同僚だった方と久しぶりに会った際、 マネージャークラスの待遇でコールセンターに就職した話を聞きました。
その方は、元々コールセンター経験があり、新人教育で実績もありました。
某大手企業ソフトのテクニカルサポート。
話を聞いているうちに、段々と興味が湧いてきました。
なぜなら、コンピュータ操作は得意としていたからです。
なおかつ、コールセンターという職場なら、電話をとらざるを得ない。(そりゃそうだ。)
得意分野と苦手分野の両方が存在する職種を選ぶことで、
と迷いはありませんでした。
ただし、コールセンターの新人教育エキスパートである元同僚には、「電話に苦手意識がある」私がコールセンターで働きたいと相談した際、あまり積極的な感じを受けませんでした。
今思えば、彼女は経験からくるものと、一緒に働いたことのある私がこの職種に向いていないことを感じていたのだと思います。
希望に満ちた研修期間
元同僚から随時求人が出ていることを聞いた私はさっそく、やる気溢れる履歴書を作成し、すんなり入社が決まりました。
当時は、東京で3ヶ月の研修ののち、デビュー(一人でお客様対応)という流れでした。
みっちりコンピュータの基礎を座学で教え込まれ、その後、適性を考慮され配属先が決まりました。
配属されたチームでは、先輩のそばでヒアリングをしながら、どう対応していくかを学びます。
同時に、そのソフトの基本的操作を徹底的に教わりました。
研修も終盤に入ると、実践が始まります。
実際にお客様の電話を取り、そばでは先輩がヒアリングをしています。
困ったときは保留をし、すぐにアドバイスをいただけたので、心強かったです。
そうして経験を重ねていくうちに、ヒアリングで付いてくれていたチームリーダーに言われたことは、
そう、私が取る電話は結構長引くことが多く、ひどい時には1時間以上も電話切ってもらえず延々とクレームを言われることもありました。
コールセンターは数をさばかないといけないので当然ですが、無意味に長引かせることは好まれません。
たまたま取ってしまったお客さんが癖が強い人ばかりだったのか、私の受け答えがそうさせてしまったのか・・・答えは両方なのかもしれません。
電話での暴言をストレートに受け止めてしまう性格
中には、明らかにストレス発散の為に電話をかけてくる人もいます。
お客様の登録情報を調べるためにユーザー番号を言っていただくのですが、わざと聞き取れないような早口で言われ、もう少しゆっくりお伝えいただけますかと伝えても無視され、何度も聞き返すことになり、激高され、
○ね、○ね、○ね!!
※○の部分に入る漢字はお察しください。
と、ひどく殺気を感じる言葉を繰り返し言われたこともありました。
このお客様がかけてきた回線は有料だったため、時間経過と共に請求金額も上がるシステムでした。
他にも、システム開発関連のお客様からは、
電話取ってるのにプログラムできねーのかよ?
お前バカか!
俺は、C++できるぞ。
・・・・・・。
だからどうした・・・。
表計算のコールセンターにかけてくる内容じゃないだろ・・・。
そんな感じのお客様にちょくちょく当たり、電話を終えたあとはチームリーダーが気の毒そうに、
と、慰められていたのでした。
自分ではその日のうちで、ストレス発散をしているつもりでしたが・・・。
研修期間も終わりを迎える頃、自分でも気分的な異変を感じるようになりました。
喜怒哀楽を感じられなくなる
研修が終わったら、もう先輩のサポート頼りではなく、一人でこなしていかなければならない・・・その考えが日に日に膨らんでいきました。
研修センターから社宅の部屋に戻ると、電気の代わりにアロマキャンドルを焚き、体育座りをして過ごすようになりました。
食欲もなく、テレビを見ても楽しめない。
この時点で既に、メンタルに不調をきたしていました。
そして地元に戻り、一人前として業務にあたる日々・・・。
数週間が過ぎた頃、朝、目が覚めた瞬間に、
朝が来てしまった。
という感情と共に、涙がツーっとこぼれました。
体調面でも、頭痛や腰痛、頚椎ヘルニアの症状が強まり、会社を休むようになりました。
スポンサーリンク
退職の意を伝えるが、引き留めに合う
もうこれ以上、辛い朝を迎える生活が耐えられない。
ボーっとした頭の中、退職しかないと考えた私が取った行動は、精神科を受診し、診断書を書いてもらうことでした。
でも、
研修であんなに丁寧に育ててもらった恩を仇で返すのか?
私はダメなヤツだ、ダメ人間だ・・・。
という、自分攻めも止まりません。
私は辞めることを、他人にどう思われるかばかりを気にして、その解決策として、
という方向にもっていきました。
要は、自分は医者にそう言われたから仕方なく辞めることになりました、と言いたいのです。
その為に、わざわざ精神科で受診し、診断書を書いてもらいました。
しかしマネージャーから言われたことは想定外のものでした。
給料は減ってしまうけど、自分の体調に合わせながら出勤してもらってかまわないよ。
あぁ・・・そこまで言ってもらったのに、裏切ってもいいのか?
でも、今、自分の本当の気持ちを無視して留まることを選択したら、消えてしまいたい朝は永遠に続くのか・・・。
そこでやっと、私は正直な気持ちを白状したのです。
辛いです・・・すみません。
と。
結局、言い訳の材料に使うつもりだった診断書は提出しませんでした。
会社からすれば、多額の研修費用をかけて育てた社員がすぐに辞めてしまうのは避けたいことだというのはよく理解していました。
しかし、人望の厚かったマネージャーは本当に心配してくださっているのが伝わり、余計に申し訳ない思いになりましたが、やはり自分には酷な職場だったと認めざるを得ませんでした。
申し訳なさと酷い罪悪感。
そして、あんなに期待に胸膨らませて入社したのに、もう辞めてしまうのか?という自己攻めと挫折感。
結局、荒療治の職業選択は散々な結果となりました。
荒療治の効果は確かにあった
まったくお恥ずかしい経験談でしたが、荒療治の効果は確かにあったこともお伝えします。
まず、宅配ピザ屋に電話することは容易にできるようになりました。(ハードル低い。笑)
そしてコールセンターで叩き込まれた電話応対は、どの職場でも褒められました。
時々、同僚に
「ちょっとクレームまがいのお客さんに丁寧すぎやしませんか?」
と、笑いながら言われることもありましたが、私としてはとりあえず無事に電話を切ることができればいいのです。
冗談か本気か、クレームのお客さん対応はカイカさんにお願いね、とも言われましたが、それは速攻でお断りしました。(苦笑)
電話対応は確かにできるようになりましたが、本音はやっぱり、
電話取りたくない~!
というのは、内緒デス。
まとめ
今回は、HSP特有の向上心からくる間違った職業選択の失敗例を書きました、いかがだったでしょうか?
自分のことですが、すごい間違え方したなー、と思います。
しかも私は、コールセンターには致命的な聞き間違いが多いので、もう不向きだらけです。(笑)
若いうちから自分が客観視できたら、こういう失敗はなかったのでしょうが、どの職場でも自分に必要な経験をさせてもらえたと思うので、私にとっては必然だったのでしょうか。
私の周りにもコールセンターに勤めている人はいますが、契約社員から試験を経て正社員に、そしてマネージャークラスに認められ頑張っています。
やっぱり向き不向きが顕著に出る職業とは思いますが、私の経験談も判断材料にしてもらえたら嬉しいです。
でも怖い。
あと2回鳴ったら取ろうか・・・。